Official Interview

3rdプチアルバム「トコワカノクニ」は、どのような作品なのでしょうか?
悠木 私の声だけで全てのトラックを作った全6曲のプチアルバムです。声優は声で表現するのが仕事ですし、人の耳に一番よく聞こえるのは、人の声らしいんですよね。だから、声だけの曲を作るというのは、ずっと前からやってみたかったことでした。
どの曲も、悠木さんの声が幾重にも重なって、不思議な空間を作り出していました。
悠木 何度も何度も重ねていくので、レコーディングには時間がかかりました。メロディを歌う時はボーカル用、その後ろに楽器のような声を重ねる時はドラム用や弦楽器用と、歌う度にマイクも換えて、時には録音ブースの広さも換えたりしているんです。5曲目の「レゼトワール」は一番トラック数が多くて、100を越えています。
ものすごい手間をかけて、丹念に録っていったアルバムなんですね。
悠木 本当に地道な作業でした。一日中、自分の声を聴き続けていると、とてつもなく疲れるんです。それだけに、声が全て重なった完成版を聴いた時は、楽曲のすごいパワーを感じて。人の声って情報量が多いので、曲数は多くないですが、聴き応えはフルアルバムに匹敵するんじゃないかと思っています。
アルバムタイトルの「トコワカノクニ」とは、どういう意味ですか?
悠木 妖精の世界を表す、いい言葉はないかなと探している時に、「ティル・ナ・ノーグ」(ケルト神話に出てくる妖精の国)という言葉に行き当たったんです。それを日本語にしたのが「常若(とこわか)の国」で、音感が気に入って、「それ!」と思いました。一応、タイトルには意味があるんですけど、決め手のなったのは、かわいい音感だからです。
カタカナにすることで、よりかわいい印象になってますし、全6曲を通して聴くと、たしかに、不思議な世界に迷いこんだ感覚が味わえます。
悠木 世の中の白いモノだけを集める女の子が、別の世界に入りこんで、白だけで構成されたキメラと出会うというのを、全曲を通してのストーリーにしたんです。
1曲目の「アイオイアオオイ」から6曲目の「マシロキマボロシ」まで、ストーリーが繋がっているということですか?
悠木 繋がっているというより、それぞれの曲で、女の子とキメラのさまざまな状況を描いているという感じです。たとえば2曲目の「サンクチュアリ」は、女の子が初めてキメラのいる森に入りこんだ時のことを歌った曲ですし、5曲目の「レゼトワール」は二人で楽しくお話ししている様子を描いた曲です。
二人のキャラクターの気持ちや行動を、それぞれの曲で描写していると。
悠木 そうですね。そして、ジャケット写真では、私が白のキメラになってみました。
初回盤では白のウィッグをつけていますが、通常盤ではいつもの黒髪のままですね。
悠木 白のキメラは、かつてはどこかの国の王子だったという設定なんです。それが次第に白の世界の中でキメラになっていって。通常盤の黒髪よりも、初回盤の白髪のほうが、よりキメラ化が進行しているということを表しています。
初回盤のDVDには「レゼトワール」のミュージック・ビデオが収録されています。すでにYoutubeにショートバージョンがアップされていますが、これもまた不思議な映像になっていて。
悠木 世界に十数台しかないといわれている特殊な接写カメラで、私の唇とか耳とか指とか、体のあらゆるパーツを撮っていただきました。ここまで近寄ってみると、人の体って面白いんだなって。ファンの方には、これを見た時に驚きすぎないように、「200%あおちゃんのMVです」って、事前に情報をお伝えしていたんです。公開した時に、「200%の意味が分かりました!」と言っていただけました(笑)。
生物としての悠木碧が見られるMVという感じです。
悠木 「トコワカノクニ」というアルバムの全体を表現するのではなく、その世界に触れた感覚を体験していただくようなMVになったと思います。それに、私の声だけで作った曲の映像なので、画面を私だけで埋め尽くしたいという気持ちもありました。
初回盤のDVDには、全曲の5.1chサラウンド音源も収録されています。
悠木 5.1chを聴く環境をお持ちの方は、ぜひ体験していただきたい音源です。私も聴かせていただいたんですけど、本当にすごくて。泣ける曲を作ったわけでもないのに、涙がにじんできました。
悠木さんをはじめ、作詞作曲からレコーディングまで、あらゆるプロのスキルが詰まった1枚という気がします。
悠木 私のアイディアに、いろいろな方の工夫が加わることで、曲の精度が高まっていきました。みなさんの心に必ずひっかかるアルバムになったと思います。